相互鈑金のよもやま話 ~注意点~

皆さんこんにちは!

相互鈑金、更新担当の中西です。

 

自動車の鈑金修理は、「ただへこみを直す」だけでは済まされない、極めて高精度かつ安全性の高い作業が求められる分野です。構造への影響、素材ごとの特性、そして仕上がりの品質管理など、あらゆる工程に注意が必要です。鈑金作業における重要な注意点を実務的・技術的な観点から解説します。







1. 構造体に関わる修理は“精度と強度”が最優先


◾ ピラー・フレーム・フロアなど骨格部位の修理では




  • 数mmのズレが走行性能やエアバッグ動作に影響




  • 鈑金前に三次元計測で歪みの数値化が必要




  • スポット溶接部はメーカー指定の補修方法を厳守




→ 「見た目が直っていても、安全が確保されていない」ことのないよう、構造強度の回復が絶対条件







2. 素材ごとの特性理解と処置方法が鍵





























素材 特性 鈑金時の注意点
ハイテン鋼 剛性高いが変形しにくい 引き出し不可な場合は切開→交換が原則
アルミニウム 軽量・腐食しにくい 鉄粉との混入厳禁、専用設備が必要
樹脂パーツ 軽量・成形自在 熱による変形リスク。接着剤や溶着による補修が基本




→ 素材に合わせた修復方針と機材選定が必要







3. パネル交換時の注意点:位置合わせと安全性




  • ドアやフェンダーなどの外板部品でも、取り付け角度・すき間(クリアランス)調整が求められる




  • 「左右対称性」「雨水の排出」「エアロパーツとの干渉」など細かい配慮が仕上がりに直結




  • パネル溶接部は防錆処理(シーリング・塗装)を忘れず実施








4. 熱変形・過剰引き出しに注意




  • ハンマーやスタッド溶接機による叩き出しでは、板金の延伸により表面が波打つことがある




  • 熱を加えすぎると塗装下地や補強構造が損傷




  • 特にアルミや薄鋼板では「やり過ぎ」が取り返しのつかない結果に




最小限の力で最大限の効果を出すことが職人の技術







5. 鈑金後のパテ処理・塗装前下地に要注意




  • パテ厚すぎ→ひび割れ・沈み込みの原因




  • 下地研磨が不十分→塗膜の密着不良・ちぢみ




  • 水分や油分を残したまま塗装→ブリスター(膨れ)発生




→ 鈑金完了後の「下地処理」は見えないが最も重要な作業工程







6. 近年増える“隠れ損傷”と電子制御部品の取り扱い




  • センサー類(ミリ波・超音波)・カメラ類・レーダー装置が多数搭載




  • 小さな衝撃でも内部部品がズレ・断線・エラーを起こすケースあり




  • 作業前後で電子システムの診断とキャリブレーションが必要




→ 「鈑金後の試運転・チェック」までが修理の一部






鈑金作業は「見た目」だけでなく、「強度・機能・安全性」すべてを回復させる専門技術です。素材、構造、精度、処理すべてに注意を払うことが、信頼される修理工場の条件です。


 

 

相互鈑金では鈑金・塗装の業務を行っております!

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一般のお客様専門の和歌山県橋本市の車屋さん

自動車 事故修理 各社保険修理対応 キズ ヘコミ 鈑金(板金)塗装

相互鈑金(福井自動車内) 代表 有本順一

〒648-0072 和歌山県橋本市東家5-1-3

鈑金塗装受付専用 ℡ 090-2381-7012 鈑金塗装担当 有本(アリモト)まで

ホームページ → https://www.sougo-b.com/ (スマートフォン向け)

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相互鈑金のよもやま話 ~難易度~

皆さんこんにちは!

相互鈑金、更新担当の中西です。

 

自動車の鈑金修理は、単なるへこみ直しに留まらず、構造・素材・精度すべてが求められる高度な専門技術です。とくに昨今では、車体の複雑化・軽量化・電子制御装備の増加により、修理の難易度はますます高まっています。


鈑金修理における「難易度を左右する要因」と、それに応じた対応技術について深く掘り下げていきます。







1. 損傷部位ごとに異なる難易度


◾ フロントフェンダー・ドアパネル(外板パネル)




  • 難易度:★★☆☆☆




  • 特徴:取り外し・交換が比較的容易




  • 注意点:クリアランス調整と塗装の色合わせが仕上がりを左右




◾ ルーフ・ピラー部(構造部材)




  • 難易度:★★★★☆




  • 特徴:ボディ剛性に直結する構造材




  • 注意点:**接合方法(スポット溶接、ボンド接着)**に応じた修復技術が必要




◾ フロントサイドメンバー・フレーム部




  • 難易度:★★★★★




  • 特徴:衝突安全性・走行性能に関わる車体骨格




  • 注意点:ミリ単位の精度が求められる。専用ジグや三次元計測器が必要








2. 車体素材が難易度に与える影響


◾ ハイテン鋼(高張力鋼板)




  • 特徴:衝突吸収性と軽量性を両立




  • 難易度:★★★〜★★★★




  • 注意点:加熱不可/引き出しにくい → 専用機材とノウハウが必要




◾ アルミニウム合金




  • 特徴:軽量化目的で高級車・EVに多用




  • 難易度:★★★★☆




  • 注意点





    • 専用工場での隔離作業が必要(鉄との腐食反応)




    • 引き出し不可、基本はパネル交換またはアルミ専用溶接






◾ CFRP(炭素繊維強化プラスチック)




  • 特徴:高級スポーツカーに使用




  • 難易度:★★★★★




  • 注意点





    • 再成形不可、原則交換




    • 修理には接着・張替えと検査技術が必須










3. 塗装の難易度:ただの“色塗り”ではない




  • 近年の車両にはパール・メタリック・マット塗装が増加




  • 微妙な色調調整が求められる「調色」は職人の腕の見せ所




  • 仕上げの磨き処理・塗膜の厚み管理が重要




  • 新車時の「オリジナル塗装」に近づけるには、光源・角度・下地条件を完全一致させる必要あり








4. 修理の難易度を高める車種と装備要素




  • 衝突軽減ブレーキやセンサー搭載車:修理後の再校正が必要




  • テスラ・BMW・レクサスなど高級車:素材・塗装・構造の特殊性




  • EV車(電気自動車):高電圧機器の取り扱いに注意




→ 難易度=「板金作業+電子制御再設定+法規制対応」が複合的に絡む







5. 鈑金修理の難易度を下げるための実務対策





























対策 内容
精密計測機の導入 ボディの歪みを正確に把握(例:三次元計測器)
材料ごとの施工マニュアル整備 鋼板/アルミ/CFRP別に施工手順書を用意
専用設備・治具の使用 溶接機、スポット溶接治具、フレーム修正機など
定期的な技術講習 最新車種の構造や溶接技術をアップデート







鈑金修理の難易度は、「部位 × 素材 × 技術 × 精度 ×設備」によって決まります。今や単なる「へこみ直し」ではなく、車両構造・安全性・先進技術に精通した専門知識が必要不可欠です。


 

 

 

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相互鈑金のよもやま話 ~未来~

皆さんこんにちは!


相互鈑金、更新担当の中西です。

 

 

自動車鈑金の未来:EV時代とスマート修理の新常識


 

 


今回は、「これからの自動車鈑金工場はどう進化していくのか?」をテーマに、技術革新と業界の展望について詳しく見ていきます。


自動車業界では電気自動車(EV)や自動運転技術が台頭し、車体構造も大きく変わってきています。これに伴い、鈑金工場の役割・技術・体制も大きな変化を迫られているのです。







◆ EV車時代の鈑金業界が直面する変化


 

● 軽量化された車体構造




  • EV車はバッテリー搭載の影響で重量配分が異なり、アルミやカーボン素材の使用率が高い




  • 鉄とは異なる加工・修理技術が求められ、設備更新や技術習得が必要になります。




● 高電圧システムへの安全配慮




  • バッテリーや高電圧回路を持つ車の修理は、感電リスクや火災の危険を伴います。




  • 専用講習・資格の取得、安全マニュアルの整備が急務。








◆ AIとデジタル技術が変える修理の常識


 

● 自動見積・画像診断AIの登場




  • 損傷写真をアップロードするだけで、修理費・工数を自動計算するシステムが登場。




  • 熟練工の「目利き」に頼らない、標準化された見積もりが可能に。




● AR技術による修理支援




  • タブレットで車両をスキャンすると、分解手順や損傷ポイントがARで表示




  • 若手スタッフでも正確な修理ができる“未来型マニュアル”の導入が進んでいます。




● DX(デジタルトランスフォーメーション)による効率化




  • 修理履歴・部品在庫・作業工程をクラウドで一元管理




  • 営業・整備・保険会社との連携がスムーズになり、顧客満足度も向上








◆ スマートファクトリー化と人材改革


 

● 作業の自動化・省力化




  • 自動スプレーガンや乾燥ブースのAI制御により、人の負担を軽減し、品質を均一化




  • 手作業の職人技と、ロボット技術の融合が進む現場も。




● 女性・若者が活躍できる現場へ




  • 電動工具の軽量化・防音化により、性別や体力に左右されにくい環境に。




  • SNSやYouTubeでの発信がきっかけで、**“魅せる鈑金”**に憧れる若手も増加中。








◆ 環境×技術×人材で創る“新しい鈑金業”


 


  • 水性塗料と再生素材で「環境に優しい修理




  • DXとAIで「効率的かつ高品質な修理




  • 人の個性と感性が光る「人間味ある修理




これらが融合することで、自動車鈑金業界はこれまでにない“次世代のものづくり産業”へと進化していくのです。







◆ まとめ:これからの鈑金業は、“直す”から“未来を支える”仕事へ


 

クルマ社会が変われば、修理のあり方も変わる。
鈑金業は「地味」な存在ではありません。再生・修復・安全を守る最前線として、社会に不可欠な存在なのです。


環境、テクノロジー、そして人。
この3つを味方につけて、次の時代の鈑金業界はますます可能性を広げていくことでしょう。




 

次回もお楽しみに!







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